超舟券術
主導権を握るのは充実期に入った菊地と太田。
Wエース・53&70号機の行方に注目!
グランプリ展望もかれこれ20年ほど書いてきたが、これほど厄介なのは初めて。トライアル戦が2段階になるというので、無難にあとから合流する賞金上位6人の名前を挙げておこうと企んだが、考えてみれば先に本番レースでモーターの感触を確かめられるトライアル1st組のほうが調整面で有利なのは明らかだ。しかも今年の舞台は平和島。ここのトップと18番目のモーターでは天と地ほどの差がある。さらに使用モーターがベスト12から18になるというのは、成績の良くない6つのモーターが増えることを意味する。数字が全てではないが、優劣の差は確実に広がる。
モーターを度外視するとなると、あとは個々の選手のモチベーション。グランプリは出場することが目標であった選手より、「勝つためにここにいる」と考える選手が栄光を手にするレース。SG初優勝の白井英治(山口)や仲口博崇(愛知)はまだ達成感で満腹状態だろう。勝ちたい思いの強さでは吉田拡郎(岡山)と茅原悠紀(岡山)だが、グランプリは初出場者にやさしくない。選手というより人として充実期に入った菊地孝平(静岡)と太田和美(大阪)を推す。勝てばグランプリ初優勝となる菊地に対し、太田は実に16年ぶりの奪還と、ともにドラマ性も十分だ。
松井繁(大阪)、池田浩二(愛知)、瓜生正義(福岡)も確かに怖い。ただこの1年、あまりにも成績がパワー次第で、強い弱いのメリハリがありすぎる印象だ。とはいえ、前検日に53号機か70号機を引けば良いだけの話だが・・・。とにかく平和島はパワー天国。そう考えれば、出力低減モーター導入前の最後のグランプリに最もふさわしい舞台だといえる。
トライアル転戦組よりも純シリーズ組に妙味!
シリーズの優勝の行方は、グランプリからの合流組6人がそのカギをにぎっている。賞金上位、上位モーター、そしてトライアル戦の得点(ドリーム得点×2)を持って合流し、3日目には「復活戦」というまたもドリーム得点のレースを走る。ただ、得点上は圧倒的有利だが、あくまでトライアル敗者組。モーター勝率はシリーズ組より上でも、パワーは保証されない。いずれにせよ、その6人が誰かはあとのお楽しみだ。
シリーズ組では、惜しくもあと一歩(本当にあと一歩だった)およばなかった田中信一郎(大阪)、吉田俊彦(兵庫)、そして地元で無念のシリーズ回りとなった濱野谷憲吾(東京)に注目が集まるだろう。だが、例年シリーズを制するのは、実力がありながらも頑張れなかった選手。濱野谷より同じ地元なら石渡鉄兵(東京)、復活ムード高まる市川哲也(広島)よりリズム一息な辻栄蔵(広島)、連覇狙う前本泰和(広島)より2年ぶり2度目を狙う篠崎元志(福岡)あたりがクサい。