the INTERVIEW

注目レーサー the INTERVIEW

新たな時代の幕開けだ

昨年V10は全レーサーでトップ!

4932新開 航(福岡)

一昨年までは通算5年でV4も、昨年は1年間だけでGII含むV10。このブレイクの背景には、失敗を怖れないメンタル、そして失敗を次に活かせる自己分析力があった。「まだ自分には伸びシロしかない」も大げさではない。今年はさらなる高みを目指すチャレンジャーに意気込みを聞いた。(インタビュー・構成/重松伸生)

Profile

しんかい わたる

1996年2月12日生まれ。福岡支部・118期。
2016年5月、芦屋でデビュー。18年1月、芦屋・一般競走で初優勝。22年7月、芦屋・MB大賞でGII初優勝。22年12月、大村・GPシリーズでSG初出場。同期には栗城匠、板橋侑我、宮之原輝紀らがいる。

◆通算成績

  出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
全種別 1,587回 44回 15回 42.8% 58.7%
S G 8回 0回 0回 37.5% 37.5%
G I 124回 0回 0回 28.2% 41.9%

◆全国成績(最近2節)

23年 2月 若 松 GI・地区選 3465152666
23年 1月 戸 田 ルーキーS 2113212311

◆平和島成績(直近2節)

22年 3月 ルーキーS 1111211211
19年 12月 ルーキーS 14342223311

(2023年2月17日現在)

小学生の時に野球で全国大会優勝 メンタルはあの時に鍛えられた!

― ボートレースとの出会いは?

新開小学生の時ですね。ボートレーサーになりたいと言う知り合いがいて、そんな職業があるんだなと。本気でなりたいと思うようになったのは、高校生になって将来を考えた時です。体を動かすのが好きだったし、自分の体型にもピッタリだなと思いました。

ただ高校生の時は両親に反対されました。とりあえず大学に進学してから考えてほしいとのことでした。それならと思って大学に進学しましたが、レーサーになりたいという意思は変わらなかったので、すぐに養成所の試験を受けました。1回で合格しました。もう合格となったら両親も応援してくれました。

― いざ養成所に入ってみてどうでしたか?

新開プロとしてやっていける手応えは全くなかったですね。同期でも上のほうは凄すぎて。特に宮之原輝紀、栗城匠、板橋侑我が強烈でした。既にレベルが違うなと思いました。今、それぞれが結果を出しているのを見ても全く驚かないですよ。

養成所がハードだという人もいるけど、自分的にそれよりも大変だったのは小学生の時の野球チームですね。全国大会で優勝するようなチームに所属していたので、その時の練習がとにかく厳しくて。練習の30分前には自主練しているなど、周りの意識も高かったです。

そこでメンタルが鍛えられました。レーサーになって辛い時があっても「あの頃を頑張れたんだから」とすぐに気持ちを切り替えることができます。自分でもメンタルが強いと思えるのは、その時を乗り越えられたお陰ですね。

― 陸でも水面でも冷静なイメージです。

新開生まれ育った飯塚という環境もメンタルが強くなれた要因かもしれません。当時は思わなかったけど、今思うと周りもハングリーな人が多かったですね。負けず嫌いというか。自分も野球は大変だったのに、辞めようと思ったことはありませんでした。プロ野球選手になりたいとかそういうのではなく、友達が続けているからという理由だけで続けられましたね。

記念では瓜生正義からアドバイス 同郷の大先輩は全てが異次元!

― 2016年5月にデビューしました。

新開デビューしてからは中村真さん、瓜生正義さんら筑豊軍団の方々に面倒を見ていただいています。何でも相談しやすい先輩がたくさんいるという環境が、自分にとっては凄く良いですね。先輩方には練習にも付き合っていただきました。特に当時は石倉洋行さんに多く付き合っていただきましたね。石倉さんはF休みも多かったので(笑)。自分にしてもらったことを後輩にじゃないけど、今は自分も後輩の練習にはなるべく付き合うようにしてます。

A級になれた時期にはプロとして何とかやっていけるなと思いました。とりあえずクビにはならなそうだぞと。デビューして最初の目標はクビにならないことでしたから。それは先輩にも言われていました。

― 最近はどの場でもモーターを仕上げているイメージがあります。

新開確かに調整力はついたと思いますが、記念になると目立ちませんね。記念では瓜生さんと同じ斡旋になることも多く、たくさんアドバイスをいただいています。瓜生さんと話をできることが自分の成長に繋がっています。

瓜生さんのプロペラは凄い形をしています。表現が難しいのですが、他の人よりも強いバランスで仕上げられているというか…。自分も真似をして叩き変えると良くなることのほうが多いのですが、乗りづらくなりますね。瓜生さんはそれでもキレイに差して勝っています。乗り方ですね。全てにおいてレベルが違います。

― その乗り方に関しては?

新開ここ半年ぐらいでウイリーを意識しはじめました。上手い人たちを見ていて、自分もできたらなあ、という感じで。まだ見様見真似でそこまでの手応えはないけど、悪影響にもなってないので続けています。

とにかくウイリーはボートが安定しなければ意味がないんです。安定したうえでスピード、そこを意識しています。まだ改善の余地が多くありますね。

インコースなら絶対に勝てる! 家族の支えもパワーに大躍進

― それでも昨年はV10に年間最多勝利です。

新開今は「インコースの時は自分がミスをしなければ絶対に勝てる」というイメージができています。全コースから勝てる選手を目指していますが、インは絶対に勝てる、期待に応えられる選手になりたいと意識が変わりました。昨年の成績を残せた要因で一番大きいのはそこでしょうね。

それに一昨年は結婚もしました。それから成績が良くなったので、結婚したことも今の結果に凄く関係していると思います。仕事に取り組みやすい環境にしてくれています。家族の存在がパワーの源になっていますね。

― 平和島についてはどうですか?

新開平和島のイメージも良いですよ。今回と同じ時期だった昨年の3月ルーキーシリーズでは、モーターをちゃんと仕上げられて優勝できました。何となく淡水のレース場が得意かなとかは思うけど、どのレース場が苦手とかは全くないです。とにかくクラシックまでは事故をすることなく、万全の状態で行きたいですね。

― 最後に意気込みをお願いします。

新開もちろん出るからには優勝しか考えていません。自分は調整もレースも、考える→試す→反省というサイクルを繰り返していて、現状に満足することはありません。テーマは『点滴穿石』です。簡単に言うと塵も積もれば山となるですね。少しずつ努力を積み重ねて、いつか大きな結果を出したいです。自分には伸びシロしかないとも思っています。

それに気持ちは『人間万事塞翁が馬』。結果に対して一喜一憂せずに頑張ります!