GUIDANCE
先手必勝の蒲郡は、インの取捨が第一のポイント。
展示はタイムよりスタート展示の気配を重視!
蒲郡は今年の4月にグランドオープン。スタンドはひと足先にお披露目されていたが、立体駐車場が完成して長い工事期間を終えた。スタンドや防風壁など、位置関係は変わったが、夏場の水面コンディションには影響を与えていない。これまでのイメージどおり、全国有数の静水面でスピードとパワーの競演が繰り広げられている。
静水面といっても、風が吹かないわけではない。むしろ風向きが一定せず、選手からは「スタートが全然分からない」や「ここは難しい」との声が聞かれる。真夏の傾向は、南西や南からの向かい風が基本。昼間の特訓から第3レースぐらいまでは、その日で一番強めの風が吹く。そして夕方にかけて弱まり、第10レース前後に無風になることが多い。そして、最終レースは1m程度の微風であるが、左横風や追い風が吹くこともある。ちなみに、天気が崩れてくると追い風になる。
蒲郡は先手必勝の水面。他のレース場より引き波を乗り越えるときのロスが大きいためで、モーターが出力低減に切り替わってからは、より顕著になっている。決まり手は逃げや捲りが多く、スピードを乗せての捲り差しは決まるが、最内差しは届かず2~3着止まりのシーンが多い。
これらを考慮して舟券作戦を練ると、インコースの取捨選択を第一に考えたい。蒲郡はインが強く1着率は50%を超える。ただし、この1着率50%をどうとらえるかが問題。インが1日6勝すると仮定した場合、日頃の一般戦では前半の第1~6レースで2勝、後半の第7~12レースで4勝のペースだ。SGなので割増しは必要だが、インから裏なしで勝負するのなら風の弱まる後半レース。逆にインが負ける舟券を買うのなら、向かい風が吹いている前半レースとなる。
最後に展示タイムは自動計測。タイムそのものは正確だが、行き足や回ってからの繋がりの方が大切なだけに、スタート展示の気配を重要視した方が正解だろう。
最もエースに近いのが56号機。初下ろし節の倉谷和信は伸び型で優出2着と上々の滑り出し。本格化して来たのが3人目の豊田訓靖。周りからも「豊田さんの伸びは別格」と羨む声が続出した。特にダッシュへ引っ張ったときの伸びが強力で、4人目の鈴木賢一も「伸びは抜けているね」と目を細めた。
ただし、伸びに関しては間違いなくトップレベルだが、競ったときのターン回りには課題を残す。エースと断定できない理由はそこにある。
56号機とは対照的に出足関係が抜群なのが60号機。初下ろし節の白神優が上位級の仕上がり。その後の池田浩美、森竜也も水準以上だったが、誰の目にもすごく映ったのが4人目の仲口博崇。出力低減モーターに更新されてから、あれだけピット離れで飛び出し、かつレース足も良いのを見たことがない。
最後まで仲口の口からは完調宣言が飛び出さなかったが、「またメモリアルでも引きたい」と言わしめた優秀機。こちらもエース候補だ。
初下ろし節の谷村一哉は中堅上位で優出3着。続く横澤剛治が優出2着と気配&成績を上昇させた。横澤は「モーターからパワーを感じますね。これがエース機になるかもしれませんよ」とニヤリ。決してリップサービスではなく、3人目の松井洪弥が伸びを生かして好レースを展開。この時点でトップクラスのモーターであることを確信した。
4人目の荒井輝年はピリッとしなかったが、「方向性を間違っていただけ」と気にする必要はない。
優勝戦こそ5着に敗れた上村純一だが、初下ろし節で一番出ていた。続く鶴本崇文も優出4着の成績。「特に行き足が良くて節イチ。もっと成績を獲らないと...」と自嘲気味に話しながらも、パワーには胸を張った。
序盤の勢いからするとエース級だったが、3走目の齋藤和政、4走目の小坂尚哉は上位レベルに届かなかっただけに4番手評価。ただ、決して落ち目ではなく、上位3機にもポテンシャルでは負けていない。
梅雨時期になってベクトルが上向いたのが39号機。3走目の眞田英二から伸びにその片鱗が出始めた。覚醒したのは4人目の船岡洋一郎。「前検日にもらったときから良かった」と好バランスの舟足で8戦6勝の優勝劇。大外から2勝も挙げたのは好材料だ。
続く川島圭司も優出3着。F持ちが影響して予選は取りこぼしも見られたが、勝負所の準優、優勝戦でのパフォーマンスは目を見張った。上昇度はナンバー・ワンで目が離せない逸機だ。
4節使われて優出歴のない18号機。B1級選手が3人も乗っているだけに、派手な結果が出ていないのは仕方がないか。
だが、ずっと蒲郡を見続けているファンなら、これがメーカー機のひとつであることは周知の事実。初下ろし節の柳橋宏紀、続く竹田吉行と中堅上位だったが、抜群だったのは4人目の今出晋二だ。「最初は伸び型だったが、バランスも取れて良い感じ」と大満足。選手間でも評判の舟足だった。SG戦士が乗ったときの楽しみは大きい。