データとトレンドで読む

ボートレースダービーは実力伯仲。展示&1周タイムを利用してシンプルに整理し勝てる1号艇、勝てない1号艇を読み切れ!
JLCコメンテーター 桧村賢一がデータとトレンドで読む とこなめダービーの舟券

SG・GIとシード番組とでは「1コースが勝つ」理由が違う

1号艇に実力上位選手を入れて的中を誘導するような「シード番組」が増えてから、1コースの1着率が上がった。かつては1コースの1着率が40%を超えれば「1コースが強い水面」と言われていたが、今では50%を超えるレース場も多い。

一方、今年のSGを例に見てみよう。SGでは、1号艇(ほぼ1コース)の選手が1番人気になる。浜名湖グラチャンでは、1号艇以外で1番人気に推されたのは松井繁と菊地孝平の2コース戦くらい。結果をみると、全72レース中、1コースが1着になったレースは41レース、1コース1着率は56.9%だった。ちなみに、尼崎クラシックと丸亀オーシャンカップの1コースの1着率は共に65.3%、福岡オールスターはやや下がって43.1%である。

2014年SG 1コース選手の1着回数
  初日 2日目 3日目 4日目 5日目 最終日
尼 崎 クラシック(総理大臣杯) 8回 8回 11回 7回 4回 9回
福 岡 オールスター(笹川賞) 4回 4回 5回 2回 8回 8回
浜名湖 グランドチャンピオン 7回 6回 7回 8回 6回 7回
丸 亀 オーシャンカップ 7回 8回 9回 5回 8回 9回

数字だけを見れば、SGやGIでも「1コースが強い」ということになるのだが、SG・GIとシード番組とでは「1コースが勝つ」理由が違う。SG・GIは一般戦と番組の作り方が異なるからだ。一般戦ではシード番組の影響もあって枠番配置の制限が緩和されているが、SG・GIでは不公平にならないように、1~6号艇までを均等に与える。

加えて、最近のSG・GIは、"モーターの勝負"だ。第一にモーター抽選、第二にシリーズに入ってからのモーターの仕上がり具合、この2つによって上位進出する選手が決まる。その結果、強力モーターを手にした選手が1号艇に集まるような日は1コースが強くなり、強力モーターが外枠に集まれば1コースが勝てなくなる。尼崎クラシックでは、3日目に1コースが11回も勝っているのに、5日目は4回しか勝てていない。福岡オールスターの予選最終日などは、12レース中イン逃げが決まったのは2回だけだった。

1コースを1着軸として「買える」「買えない」レースの選別が必要

"モーターの勝負"となればなるほど、選手相場などは死語に近くなる。実際、選出順位上位から順に選ばれるSGのドリーム戦出場選手のうち、何人が優勝戦まで乗ってきたか。

選手相場が当てにならないから、1コースに入る選手を条件反射で買うようになる。SGで1号艇の選手が1番人気となる最大の理由はそこにある。多場発売に慣れて、締切時間に追われ、レースを選んで買う余裕もなく、軽い推理による舟券購入を積み重ねることで、「1コースが強い」という刷り込みが強化されているから、なおさらそうなる。

シード番組はそれで当たるのだから、わざわざ番組の意図に逆らって見当違いの舟券を買う必要はない。しかし、SG・GIでは、1コースを1着軸として買って良いレースと、買ってはいけないレースの選別が必要になる。要するに、1コースか、モーターパワーか、どちらのイメージを記憶し、選択するかが求められるのだ。

「1周タイム」と「展示タイム」が1番時計の1号艇は信頼度が高い

SGやGIで、1コースを1着軸として買って良いレースと、買ってはいけないレースの選別の基準になるものがあれば、舟券作戦はかなり楽になる。

その基準の一つとして、最近、筆者が注目しているデータがある。SG中継のときにJLCが独自で計測、発表する「1周タイム」だ。ちなみに、レース場では徳山と若松全レースで計測、公表している。桐生も半周タイムを計測、公表している。

1号艇で1周(半周)タイム、展示タイム共に1番時計なら、かなりの確率で1着になる。他の枠番だと信頼度は低いが、1号艇だけは買って損はない。一つの取捨基準がこれでできたことになる。

展示タイムだけでも、1号艇が1番時計をマークしているかどうかは重要だ。最近1年のSGに限定して調べてみると、1コースが展示1番時計をマークしたときの1着率は62.0%。6コースだと、たとえ展示1番時計を出しても無視できる。

とこなめの最近1年の展示データを調べると、同じような傾向が出ている。展示タイムも、コースによって使い分ければ利用価値があるということだ。

選手相場が見えず、オッズも総合的な相場を反映していない時代だからこそ、こうした単純なデータが重要になる。とこなめダービーでは、JLCの「1周タイム」とそれぞれの「展示タイム」に注目して、1号艇を的確に読み切り、取捨して、舟券勝負をしたい。

SG最近1年
展示1番時計のコース別成績
(2013年8月1日~2014年7月21日)
進入コース 1着率 2連率 3連率
1コース 62.0% 76.7% 82.8%
2コース 21.7% 50.8% 71.7%
3コース 19.6% 40.2% 58.8%
4コース 15.4% 33.0% 51.6%
5コース 7.4% 25.5% 39.4%
6コース 4.2% 16.7% 41.7%
とこなめ最近1年
展示1番時計のコース別成績
(2013年8月1日~2014年7月31日)
進入コース 1着率 2連率 3連率
1コース 53.0% 70.5% 81.3%
2コース 25.4% 50.7% 70.3%
3コース 23.7% 48.2% 67.8%
4コース 24.6% 43.6% 63.9%
5コース 11.7% 31.8% 52.2%
6コース 4.9% 16.3% 30.4%