the INTERVIEW

「今は『優勝します』とは言いません。
ドリーム戦1号艇でのスタートなので、初日から流れを作りたいです」

ひらやま ちか
1985年(昭和60年)7月13日生まれ。香川支部・98期。2006年5月、丸亀でデビュー。4走目で水神祭。08年5月、丸亀・タイトル戦でオール3連対で初優勝。13年1月、尼崎・周年記念でGI初優勝、13年12月、芦屋・クイーンズクライマックスで2度目のGI優勝。09年5月、福岡・オールスターでSG初出場。14年にはクラシックからメモリアルまでSG皆勤と活躍した。夫は69期の福田雅一、同期には松田祐季、西村拓也、松本晶恵らがいる。

 5月2日、2016年後期適用級別が発表された。平山の勝率は8.21、トップの白井英治に次いで全選手中2位の高勝率だ。尼崎60周年でGI初制覇を成し遂げ、その後もSG・GI戦線で戦い続ける平山が、30回目を迎えるメモリアル大会で"真夏のシンデレラ"となるか。

(インタビュー&構成/『マンスリーBOAT RACE』武内達也)

2016年後期適用勝率は8.21。3人目の女子8点選手に

 「勝率7点台を残すことが大変な世界で、まさか自分が8点台を残せるとは思っていませんでした。歴代の先輩方(山川美由紀・横西奏恵)と一緒に、8点勝率を獲った選手として名前を残せるのは嬉しいです。
 前期は最初の方から流れが良くて、年末の福岡クイーンズクライマックスシリーズはモーターの仕上がり、レースともに完璧な内容で優勝することができました。年が明けても良い流れをキープできたことが良かったです。それだけモーターもコンスタントに出ていたってことだと思います。
 前期(2015年11月~16年4月)はすごく良かったけど、前々期(15年5月~10月)は勝率6点台でした。成績に波があるんです。自分では、夏場はフライングを切って成績を崩すことが多いように思います。フライングを切るとすぐにスタートを我慢するようになって、またスタートの設定が早くなってくるとまたフライングして...。冬場は夏の影響からスタートも慎重になっているので、足かせもなく、成績が良いことが多いです」

レディースチャンピオンの経験がクイーンズクライマックス戴冠に

 「レディースチャンピオンは第24回(三国)、第26回(若松)、第27回(鳴門)の3回、1号艇で優勝戦に乗りました。結果的に負けてしまって悔しい気持ちはあるけど、決して相性の悪い大会ではないと思っています。
 それに、レディースチャンピオンでの経験はその後のレースに生きています。その結果が、芦屋のクイーンズクライマックス優勝に繋がったんだと思います。成功するにしろ、失敗するにしろ、いろいろな経験ができたのは大きいですね」

GI優勝戦成績
2011年 3月 三国 レディースチャンピオン 1号艇 2着
2012年 8月 若松 レディースチャンピオン 1号艇 3着
2013年 1月 尼崎 開設60周年記念 1号艇 優勝
2013年 8月 鳴門 レディースチャンピオン 1号艇 3着
2013年 12月 芦屋 クイーンズクライマックス 1号艇 優勝
2014年 8月 三国 レディースチャンピオン 5号艇 3着
2014年 12月 住之江 クイーンズクライマックス 2号艇 5着

自分の世界を広げた夫・福田雅一の存在

 「デビューして10年、自分が思っていた以上に公私とも順風満帆です。小さな波はあったけど、それ以上に夫(福田雅一)と出会えたのが大きかったです。夫を通じて出会えた方々にも、たくさんのことを教わりました。尼崎周年の優勝など結果も出せて、イメージしていた以上の選手生活を送れています。
 SGも少しずつではありますが出場して、上の舞台での経験を積むことができました。ただ、実際に自分の走りは通用しません。まだまだ上を目指してチャレンジするだけです。目標があれば、頑張れます」

津は、良かったり悪かったり...

 「津はあまり走っていないけど、難しいですね。安定して良かったイメージがなくて、良いときと悪いときと極端です。得意なレース場はすごく良い成績を残せることが多いので、どちらかと言えば得意ではありません。
 でも、津を前回走ったときはオール3連対で優出できましたし、結局はモーターに左右されるんでしょうね。津のモーターはそろそろ1年経つ(15年9月初使用)みたいなので、抽選がカギになると思います。
 私は出力低減モーターに乗ったのが遅くて、15年7月の常滑が初めてでした。確かに起こしや行き足など、スタートする足には影響があると思います。実際、起こすタイミングが以前よりも早くなっています。
 それでも日々の気温や気象条件、乗り心地を考えながら、プロペラを合わせる作業は一緒。周りからはいろいろな声があったと思うけど、やるべきことは変わりません」

津節間成績
2007年 2月 一般競走 5 3 5 4 失 6
2008年 3月 GI・レディースC 3 5 5 6 3 3 3 4
2008年 4月 GIII・女子リーグ 3 4 4 6 5 1 3 2 3
2008年 9月 オール女子 4 1 6 3 4 3 5 2 2 2
2009年 1月 一般競走 6 1 1 1 1 3
2010年 1月 一般競走 2 6 4 5 5 1
2011年 12月 一般競走 2 1 4 4 1 1 3
2013年 11月 SG・CC 4 4 5 3 3 5 4 6 5
2015年 8月 GIII・Aレディース 1 2 1 1 3 3 1 1 1 1 3

準備期間を大切にして、本番で最高の結果を残したい


6月の大村・ヴィーナスシリーズ「蛭子能収杯」で圧勝。
近況の充実ぶりを見せつけた

 「レディースチャンピオンは女子レーサーのトップを決める大会なので、デビューしたときから獲りたいと思っているレースです。良い流れで臨むためにも、まずは目の前の1走1走を全力で、事故なく走ることが大事。体のコンディション、心のコンディションを しっかりと作っていきたいです。レディースチャンピオンまでの1ヵ月、それまでの準備期間が勝負だと思っています。
 レース本番ではみんなが優勝を狙っていると思います。モーターや対戦メンバー、レース展開が自分に向いてくれれば優出、そして優勝という最高の結果を残せるかもしれません。今度の大会はドリーム1号艇でのスタートなので、初日から流れを作りたいです」


全国のファンの皆さんを沸かせられるように

 「最近、女子レースが盛り上がってきていると感じています。自分ができることは小さなことかもしれないけど、少しでも多くのファンの皆さんに興味を持ってもらいたいと思っています。今回のレディースチャンピオンでは、津はもちろん、全国のファンの皆さんを沸かせたいです。
 また、最近は自分よりも若い選手がひと皮もふた皮も向けて伸びてきています。若い選手の活躍を刺激に、自分も頑張ろうって思っています」

平山 智加 選手 データ室
(2016年6月26日現在)

◆通算成績

出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
通 算 2,325回 93回 20回 47.4% 65.1%
S G 142回 0回 0回 14.8% 26.1%
G I 369回 7回 2回 35.0% 53.7%
◆全国成績(最近3節)
16年 6月 大村 ヴィーナス 1 3 1 1 1 1 4 1 1 1 1
16年 6月 丸亀 GI・周年 4 1 1 1 6 F 4 2
16年 6月 福岡 ヴィーナス 2 2 4 2 5 3 3 1 5 3 1
◆津成績(最近2節)
15年 8月 GIII・Aレディース 1 2 1 1 3 3 1 1 1 1 3
13年 11月 SG・CC 4 4 5 3 3 5 4 6 5