総展望

THE GRAND PRIX 総展望 津波謙次 ●『日刊スポーツ』
グランプリ

2014年からグランプリ出場者が18人となり「トライアル1st&2nd」制が導入された。過去2年の傾向を見ると、獲得賞金上位6人の2nd組が優位に映る。2連率上位6機のモーターが渡り、前検と初日、2日目は試運転、プロペラ調整を入念に施せる。しのぎを削る1st組と違って、精神面でのゆとりもプラスされる。

本命には石野貴之(大阪)を推す。今年は7月鳴門オーシャンC、11月大村チャレンジCを制覇。獲得賞金は1億円を超えた。勝負強さに加えて、モーター出しも各地で力強かった。グランプリは過去3回出場して全てファイナル進出。短期決戦での勝負強さに加えて、住之江はホームプールの利点もある。10月の住之江一般戦で優勝した際は、全てのレースでプロペラを叩きかえて、あらゆる調整を施した。グランプリを見据えた走りで準備は整えている。黄金ヘルメットを今度こそ戴冠か。

獲得賞金トップを最後まで争った菊地孝平(静岡)と瓜生正義(福岡)も優勝候補に挙げる。住之江の相性で考えると、GI優出実績を残す瓜生にやや分があるか。2nd組では、やはり松井繁(大阪)のキャリアを重視したい。グランプリ21回目の出場で、経験値の高さを存分に生かす。

1st組では歴代グランプリ覇者の山崎智也(群馬)、井口佳典(三重)、池田浩二(愛知)、辻栄蔵(広島)、太田和美(大阪)も侮れない。しかし池田と太田は直前のチャレンジCでフライング、この勇み足が割り引き材料となる。


グランプリシリーズ

毒島誠(群馬)に期待する。昨年はグランプリ優出2着。悔しい思いで今年に懸けたが、SGでのモーター抽選運が悪すぎた。しかし、GIでは10月徳山周年で6コースから捲り差しで優勝するなど、ハンドルの切れは問題ない。

フライング休み明けの茅原悠紀(岡山)は惜しくも賞金ランク21位でシリーズ特別戦1枠回り。11月若松周年で優勝と猛チャージをかけたが、わずかに届かなかった。悔しさを胸に、今年ラストのSGで奮闘する。他では近況のモーター出しが力強い赤岩善生(愛知)や、地元の湯川浩司(大阪)も侮れない。