激闘の4レース

SG BOAT RACE CLASSIC 激闘の4レース
第28回大会[1993年・戸田] ―優勝者― 植木通彦

「ボートレース新時代」の幕開け!

今村豊が全速ターンで世代交代を加速させたように、第28回大会は植木通彦が"艇王"への道を歩み始めた大会である。確か、「フロンティアターン」と実況が呼んでいた。優出メンバーでは飯田加一と植木通彦が革新的なターンの使い手だった。全速ターンの今村も優勝戦に乗っていた。

優勝戦結果
着順 枠番 選手名 支部 進入 ST タイム
1 1 植木 通彦 (福岡) 5 23 1.49.3
2 2 清水 克一 (福岡) 2 18 1.50.4
3 3 今村  豊 (山口) 6 17 1.52.0
4 5 飯田 加一 (東京) 1 34  
5 4 濱村 芳宏 (徳島) 4 38  
6 6 野中 和夫 (大阪) 3 27  
▲2連単 1-2 1,910円(11番人気)
▲決まり手=抜き

レースは、2コースから捲った清水克一と5コースから全速で続いた植木、2人のマッチレースになった。1周2マーク、先にクルリと小回りした清水の内懐に、植木が全速差しで飛び込む! そのまま2周1マークを先取りしてゴールイン。

そのときのターンが「モンキーターン」と呼ばれるようになるのは、もうしばらく先のこと。ターンの差を見せつけた大会だった。


第31回大会[1996年・平和島] ―優勝者― 中道善博

中道が完璧なイン逃げでSG7冠!

プロペラの時代を迎えていた。最強のプロペラ集団と呼ばれたのは黒明良光をリーダーとする岡山の「イーグル会」である。第31回大会には5名が出場し、井川大作と小畑実成が優勝戦に進出した。

優勝戦結果
着順 枠番 選手名 支部 進入 ST タイム
1 3 中道 善博 (徳島) 1 14 1.48.0
2 5 井川 大作 (岡山) 6 24 1.48.6
3 2 加藤 峻二 (埼玉) 4 28 1.50.7
4 1 小畑 実成 (岡山) 5 21  
5 4 池上 裕次 (埼玉) 2 17  
6 6 西田  靖 (東京) 3 15  
▲2連単 3-5 1,510円(6番人気)
▲決まり手=逃げ

しかし、優勝したのはキャリア30年のベテラン・中道善博だ。優勝戦当日、中道はピットの3階にある記者席からずっと風を観察していた。午前中はダッシュ向きの風だったが午後から風が変化、インからのスタートが届くようになっていた。その風の変化を、中道は見逃さなかった。優勝戦は完璧なイン速攻で7度目のSG制覇。

優勝インタビューでは、膝の持病を理由に「あと4年で引退したい」。自らの引き際を決めた選手は、やはり強かった。


第37回大会[2002年・平和島] ―優勝者― 野澤大二

主役はお化けモーター・36号機!

第37回大会の主役はモーターだった。「36号機に始まり、36号機で終わった」大会である。当時、平和島を担当していた鷲田義継記者(現JLC解説員)が「びわこの『雄琴』もすごかったけど、36号機はそれ以上やで」と絶賛していた。手にしたのは地元の野澤大二。優勝戦は風速15mの強い追い風のなか、カドからコンマ10のトップスタートで一気に捲り、SG初優勝を飾った。

優勝戦結果
着順 枠番 選手名 支部 進入 ST タイム
1 3 野澤 大二 (東京) 4 10 1.49.3
2 1 今村 暢孝 (福岡) 1 33 1.50.5
3 4 滝沢 芳行 (埼玉) 5 17 1.51.4
4 2 松井  繁 (大阪) 2 33  
5 6 中岡 正彦 (香川) 3 20  
6 5 平田 忠則 (福岡) 6 25  
▲2連単 3-1 1,640円(6番人気)
▲3連単 3-1-4 6,660円(26番人気)
▲決まり手=捲り

それにしても、36号機のプレッシャーは相当だったようで、優勝後の記者会見で野澤は「もう(優勝して)嬉しいのと、(36号機のプレッシャーから)解放されたのと...」。そんなモーターを割って整備したのだから、さぞ勇気のいったことだろう。

現在、36号機は平和島ボートレース場・ベイプラザに飾られている。


第42回大会[2007年・平和島] ―優勝者― 濱野谷憲吾

艇王・植木に引退を決意させた大会!

"東都のエース"こと濱野谷憲吾は、地元で開催される大会に備えて1ヵ月前から減量に取り組み、前検日には50.8㎏まで落として平和島入りした。

地元のエースの活躍に注目が集まったが、その濱野谷以上に注目を集めたのが"艇王"植木通彦である。植木は予選を13211でトップ通過、準優勝戦もインから逃げて優勝戦1号艇を手にしていた。

優勝戦結果
着順 枠番 選手名 支部 進入 ST タイム
1 3 濱野谷憲吾 (東京) 3 00 1.47.0
2 2 吉田 弘文 (福岡) 2 05 1.48.9
3 4 瓜生 正義 (福岡) 5 03 1.50.3
4 5 井口 佳典 (三重) 6 03  
5 6 三嶌 誠司 (香川) 4 06  
F 1 植木 通彦 (福岡) 1 +01  
▲2連単 3-2 930円(3番人気)
▲3連単 3-2-4 2,050円(5番人気)
▲決まり手=恵まれ

優勝戦では、当然ながら1号艇の植木に人気が集まっていた。インからやや長めの助走距離を取り、スタートもバッチリ決めた...はずだった。しかし、コンマ01のスリットオーバー。一方、コンマ00で残した濱野谷は、2マークも冷静にさばいて4回目のSG優勝。この年の7月、植木は現役を引退した。

SG BOAT RACE CLASSIC 歴代優勝者
開催年 開催場 優勝者
第1回 1966年 平和島 長瀬 忠義
第2回 1967年 住之江 竹内 虎次
第3回 1967年 住之江 石川 洋
第4回 1968年 戸田 岡本 義則
第5回 1970年 住之江 加藤 峻二
第6回 1971年 蒲郡 松尾 幸長
第7回 1972年 福岡 石黒 広行
第8回 1973年 浜名湖 鈴木 文雄
第9回 1974年 常滑 彦坂 郁雄
第10回 1975年 下関 石原 洋
第11回 1976年 住之江 常松 拓支
第12回 1977年 下関 山本 泰照
第13回 1978年 丸亀 北原 友次
第14回 1979年 浜名湖 松尾 泰宏
第15回 1980年 蒲郡 中本 逸郎
第16回 1981年 児島 平尾 修二
第17回 1982年 下関 彦坂 郁雄
第18回 1983年 平和島 高峰 孝三
第19回 1984年 常滑 増沢 良二
第20回 1985年 平和島 黒明 良光
第21回 1986年 平和島 古川 文雄
第22回 1987年 蒲郡 国光 秀雄
第23回 1988年 戸田 彦坂 郁雄
第24回 1989年 戸田 高橋 博文
第25回 1990年 平和島 岩口 昭三
第26回 1991年 平和島 野中 和夫
第27回 1992年 蒲郡 鈴木 幸夫
開催年 開催場 優勝者
第28回 1993年 戸田 植木 通彦
第29回 1994年 平和島 大森 健二
第30回 1995年 平和島 服部 幸男
第31回 1996年 平和島 中道 善博
第32回 1997年 住之江 西島 義則
第33回 1998年 丸亀 西島 義則
第34回 1999年 児島 今垣 光太郎
第35回 2000年 浜名湖 矢後 剛
第36回 2001年 尼崎 烏野 賢太
第37回 2002年 平和島 野澤 大二
第38回 2003年 戸田 西村 勝
第39回 2004年 福岡 今村 豊
第40回 2005年 多摩川 笠原 亮
第41回 2006年 平和島 中澤 和志
第42回 2007年 平和島 濱野谷 憲吾
第43回 2008年 児島 松井 繁
第44回 2009年 多摩川 池田 浩二
第45回 2010年 平和島 山口 剛
第46回 2011年 戸田 震災のため中止
第47回 2012年 戸田 馬袋 義則
第48回 2013年 平和島 池田 浩二
第49回 2014年 尼崎 松井 繁
第50回大会 尼崎
優勝戦
2015年3月22日(日)・第12レース

●第46回大会は「SG東日本復興支援競走」として2011年8月に代替開催(優勝者・重野哲之)