全国6地区のスター☆レーサー

シリーズをリードする選出得点上位6選手

桐生順平

グランプリ連覇へ、勝負の夏!

最近よく使われるボート用語に「回し系」と「止め系」がある。プロペラの調整方法の違いで、桐生は「止め系」だ。ターンの力強さを追求したプロペラの形だが、モーターにパワーがあることが前提となる。気温が上がる夏場の成績が良くないのは「止め系」の調整が原因と見る。
 今年は3月蒲郡周年で優勝するなど順調だったが、4月唐津周年の準優でフライングをした。そのペナルティで10月25日までGI・GIIを走れない。獲得賞金を上積みするにはSGで活躍するしかない。今回のメモリアルは真夏、それも気温との勝負になるナイター開催だ。苦手な夏場を克服したとき、新境地が見えてくる。

井口佳典

安定を捨てて、今年は攻める!

3月浜名湖クラシックの優勝戦はインパクトに残るレースだった。1コースの白井英治を2コースから全速捲りで沈めたのだ。
 名前が売れ出した頃は、よく「ブチ込み宣言」をしていた。トップスタートを決めて捲って出る、典型的な攻撃型選手だった。しかし、12年の浜名湖オールスターで優勝したあたりから捲りで勝つレースが減り、逃げと差しが増えた。「グランプリに出場する」という大きな目標を立てて、それを達成するために1年を通じて安定した成績を残すことを選択したからだ。3月クラシックの優勝戦は安定を捨てて勝負に出た。その点で大きく評価できる。今年の井口は、ひと味違う。

松井繁

絶対王者の信念は揺るがない!

福岡マスターズCのフライングで若松オーシャンC出場を逃し、12年8月から続いていた連続SG出場の記録が47回で途絶えた。グランプリ出場圏にいるものの、まだ安心はできない。連続出場が途絶えたのは何か不安があるということなのか。ただ、最近の調子を聞かれて「大阪支部はプロペラで正解が出ていないだけ」と答えていた。
 インを取れば、絶対王者の走りを見せてくれる。外枠なら勝てるコースを選択して上位着に絡んでくる。レベルの高さと勝利への執念が松井を支えている。毎年、正月に誓うのは「今年もグランプリの舞台に立つ」こと。目標達成へ、メモリアルは勝ちに行く。

森高一真

近況の負のムードを振り払う!

地元で走るときは、前検日にキャブレターを洗浄するのがルーティンワークのようになっている。前回使用したときに塩分が付着していないかを確認し、あればそれを取り除く。不安要素をなくしてレースに臨みたいという気持ちからだ。その作業は実に繊細で、この繊細さがレースの組み立てにも現れる。水準並みのモーターなら、まず6着大敗はない。レース中も相手の細かい動きを読み、ターンマーク毎に勝負する。
 森高が地元まるがめ開催のメモリアルで走るのは、09年、13年に続いて今回が3度目になる。誰よりも水面とモーターを知り尽くしているだけに、今度こそ結果を出してくれるだろう。

白井英治

限界まで追い込み、必ず勝つ!

64年ぶりに開催された地元徳山のSG、グラチャンで優勝、直後には珍しく涙も見せた。白井はレース期間中はほとんど食事を摂らずに減量に励み、ストイックなまでに自分を追い詰める。今年は浜名湖クラシック優出5着と尼崎オールスターで優出3着、そしてグラチャン優勝で賞金トップを快走中だ。
 特筆すべきは、オールスターは2連率21%、グラチャンは2連率26%のワースト級モーターを仕上げて優出したことだ。勝負所をにらみながらモーターを仕上げてくる。
 今年の獲得賞金は既に7000万円を超え、グランプリ出場は当確。トライアル2nd好枠シードと今年のMVPを目指して、このメモリアルでも強さを示す。

峰竜太

艇王を超える最強伝説を作る!

「グィーンと曲がる」、これが峰が求めてきた理想のターンである。ボートは右に荷重してターンをするのが常識だ。右荷重をしないとサイドが掛からず、ボートが流れてしまう。しかし、峰は「右荷重ではターンスピードが犠牲になる」と左荷重のターンをモノにした。船底がV字型のランナバウトで行われていた左荷重の急速小回りターンを、ハイドロプレーンで可能にしたのだ。
 このターンはインで強いうえに、外枠に回っても強い。死角のなさが高勝率に繋がり、3年連続で年間最高勝率を残した。もはや挑戦者ではない。今の峰が挑戦する相手は自分自身、ボート界の『最強伝説』を作ることである。