the INTERVIEW

寺田祥 注目レーサー the INTERVIEW 寺田祥 トライアル2nd・1号艇獲得へ、全力で勝負!

8月若松メモリアルで歓喜のときが訪れた。寺田祥がデビューから20年、10回目の優出で悲願のSG優勝を勝ち獲った。若い頃からターンへの飽くなき探求心を持ち続け、SGウイナーとなった後も「まだ課題がある」と手を緩めない。そこに好モーターが加われば、まさに鬼に金棒状態になる。
 10年ぶりのグランプリ出場は決まった。賞金ランク6位以内と、トライアル2nd好枠獲得へ、走り慣れた下関で2つ目のSGタイトルを狙う!

(インタビュー&構成/『マンスリーBOAT RACE』武内達也)


3942 てらだ しょう
1978年(昭和53年)9月20日生まれ。山口支部・81期。
1997年11月、徳山でデビュー。99年7月、桐生・タイトル戦で初優勝。2005年2月、徳山・中国地区選手権でGI初優勝。17年8月、若松・メモリアルでSG初優勝を飾る。「山口支部の3強」として今村豊、白井英治とともにSG・GIで活躍中。同期には佐々木康幸、飯山泰、池田浩二らがいる。

◆通算成績
出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
全種別 4868回 186回 40回 49.5% 66.2%
SG 646回 10回 1回 34.4% 50.9%
GI 1,739回 40回 4回 40.6% 60.4%
◆全国成績(最近3節)
17年 10月 平和島 SG・ダービー 13644524
17年 10月 徳 山 一般競走 4234124
17年 9月 下 関 GI・周年 231564114
◆下関成績(最近2節)
17年 9月 GI・周年 231564114
17年 4月 タイトル(GW戦) 12211212112

(2017年10月31日現在)


SGは“1回勝っただけじゃ損だな”って思った。

― SG初優勝おめでとうございます!

寺田 ありがとうございます。優勝した瞬間はやっぱり嬉しかったですね。初日、2日目あたりから準優勝戦の好枠を狙えるくらいの舟足の感触があったので、この舟足なら最低でも優勝戦までは行かないといけないって思っていました。こんなチャンスは滅多にないし、この舟足で優出できなかったら「センスがないな」っていうくらいでした。

 準優の1号艇が決まって、ここでしっかり逃げれば優勝戦も1号艇。余程のアクシデントでもない限りは優勝できると思っていました。

― 優勝戦1号艇というプレッシャーはありましたか?

寺田 たまに緊張することはあるけど、今回に限れば全然ありませんでした。モーターの仕上がりも良かったですし、追い風が4〜5mくらい吹いていたのが少し気になったくらい。その風も、優勝戦の前には弱くなったので、不安要素は全てなくなりました。

 レース本番では集中していたのもあって、差されることもなく綺麗なターンができました。普通のターンなんですけどね。ただ、いつもそのターンができるかと言えば、難しいです。

― ご家族や周りの喜びも凄かったでしょう。

寺田 家族や周りの方の反応は想像どおりだと思います。みんな凄く喜んでくれました。それと、SGで優勝したら凄く忙しくなりました。取材の数も増えましたから。

 環境が変わって思ったのは、1回勝っただけじゃ損だなって(笑)。またSGを獲れるチャンスがあれば2つ、3つ獲りたい。そうすればもう少し軽くなると言うか、気持ちの面でも楽になれると思います。

― これで下関チャレンジC、徳山グラチャンの出場権を獲りましたね。

寺田 今年は下関のチャレンジCに出ないわけにはいかないし、賞金を考えるとある程度は活躍しないとダメ。「どこかで優勝しないとまずい」って思いがありました。メモリアルの優勝でチャレンジCはもちろん、来年の徳山グラチャンの権利まで獲れたのは良かったです。グラチャンは普通ならSGを3、4節しっかり走れば権利が貰えるけど、今年は鳴門グラチャン、丸亀オーシャンCで着順点が全く獲れていなかった。その分、この優勝は大きかったですね。

― 今回の優勝戦も同郷の白井英治選手と一緒でしたが…。

寺田 3年前と今回では、気持ちの部分で全然違いましたね。前回は「ラッキーで勝てれば良いかな」って感じだったけど、今回は普通に走れば勝てる条件が揃っていたので。口では「心強い」とか言いますけど、それはサービストーク(笑)。みんなが勝ちにくるレースだから、やっぱり真剣勝負ですよ!

― それまでのSG優勝戦とは違いましたか?

寺田 過去の優勝戦は1号艇で乗ったことがなかったので、そこまで悔しい思いをしたとかはないですね。今回は勝ちに行くのに、かなりのリスクを背負わないといけなかった。正直言って、過去の優勝戦ではそういったレースをしていなかったと思います。

若い頃は若い頃、今は今。時代によって走り方は違う。

― 寺田選手の魅力はターンだと思います。

寺田 そうですね。実際にターンで勝負していると思います。スタートを踏み込んでどうこうするスタイルではないので。若い頃は大賀広幸さんのレースを見て研究しましたし、大賀さんにいろいろと教えていただきました。今も試行錯誤しながらターンの研究をやっています。

 ただ、若い頃にやってきたことと、今の自分が考えていることはまるっきり違う。若い頃に培ったものが、今の自分の根底にあるわけでもないですね。やっぱりレーススタイルが違いますから。若い頃は若い頃で、そのときに必要だった技術を欲していたと思うし、今は今でやりたいことがある。いろいろと考えて走っているけど…、言葉に表すのは難しいですね。

― 整備やプロペラ調整はどうですか?

寺田 今の制度になってから、レース場で忙しくなりましたね。持ちペラ制度のときは自分のプロペラの特徴はわかっていたし、試運転をしなくても気温や気圧、風を見れば「このプロペラかな」っていう感覚があった。今の制度は試運転をしないとわからないし、仕事量はかなり増えています。今の制度の方が良いとは言い難いけど、SGを獲れたのでこっちの方が良いのかな(笑)。

下関が薄暮レースからナイターレースになって良かった。

― 下関の水面やナイターになってからの印象はどうでしょう?

寺田 下関は乗りやすいですね。みんなもそうだと思いますけど(笑)。やっぱり地元だし、走る機会が多いから、モーターの仕上げ方や乗り心地の部分でどうすれば良いのかがわかっています。

 他のレース場へ行くと、それが全くわからない。どういう体感がベストなのかわからないので、極端に狭いレース場や、極端に広いレース場に行くと景色や距離感がつかめない。特に広いレース場だとターンマークを見失ったりすることがあるし、初日はちょいちょい失敗してしまう。地元の水面ではそういうことがないので、走りやすいですね。

 下関は基本的に走りやすい水面なので、やっぱり内が有利ですが、センターからでも思い切ったレースができると思います。ナイターになってからは4月の一般戦、9月周年で走らせてもらったけど、大きな変化はないと思います。下関は明るいし、どの時間帯でもレースをしていて違和感はなかったです。

 ただ、薄暮のダラダラしていてメリハリがない時間帯が嫌い。下関が薄暮レースからナイターになって良かったです(笑)。

目標は、最低でも賞金6位以内でグランプリに出場すること。

― 海響ドリームナイター初のSGです!

寺田 地元のSGだからといって特別なことをするつもりはないし、できないから、普段どおりのレースをして優勝したい。どこで勝っても嬉しいことに変わりないけど、やっぱり地元で優勝すれば盛り上がると思います。それまでにリズムを上げて、チャレンジCへ臨むのが理想だけど、上がるかどうかは実際に走ってみないとわからない。どんなに頑張ろうとしても、気持ちだけでは無理なときがあります。リズムが上がってこなくても、1節ごとに気持ちを切り替えて、フラットな状態で臨みたいですね。

 僕らは賞金を稼ぐのが仕事です。そこでランク付けをされるので、賞金ランク5位(10月31日現在)の位置にいられることを考えれば、今年はリズムの良い状態だと思います。

 グランプリには、最低でも賞金6位以内で出場することが目標です。7位以下だとトライアル1stからになってしまいますし、そこで終わってしまうのはキツイですから。チャレンジCを上位で走り切れば6位以内でグランプリに行けると思うし、良い枠番を狙えるチャンスもあるので、一つでも上を目指して走ります。