今村豊が語るマスターズチャンピオン

今村豊
マスターズチャンピオンV3

レジェンド・今村 豊が語る
下関・マスターズチャンピオン

観てくれるファンの励みになるようなレースを

「マスターズC(名人戦)に初めて出場したのは、2010年の徳山での第11回大会でした。既に出場資格が50歳以上から48歳以上に引き下げられていたので、『そういう年齢になったのか』というのが正直なところでした。本音を言えば、あまり行きたくないという気持ちもありました。歳を取ったことを認めなくてはならないわけですからね。でも、出る以上は頑張ってやろうと思っていました。

ただ、何がなんでも優勝してやろうといったものではありません。マスターズCはSGやGIと雰囲気が違います。この大会に照準を合わせてくる選手もいますが、全体が落ち着いているというか、和気あいあいといった感じです。ゴルフのシニア大会と似たような感じですね。ゴルフのトーナメントは下から上がってくる若い選手もいてギスギスしたものもあるでしょうが、シニア大会になると、出場することを喜び、ファンにも喜んでもらいたいというのが感じられますものね。

私はマスターズ世代になってもSGやGIで走っていたので、気持ちの面で余裕のようなものがありました。40代半ばになってターンスピードが落ちたことは自覚していましたが、場数を踏んでいる分、レースのスピードには馴染んでいました。その余裕がレースにも出ていたのだと思います。出場したマスターズCは11回出場して8回優出、3回も優勝できましたからね。

今回は原田幸哉、魚谷智之、瓜生正義ら6選手が45歳で初出場になります。リラックスできる大会ですが、マスターズ世代にならなければ獲れないタイトルです。一度は獲りたいと思っているはずですよ。私と同じ世代の選手には、1日でも長く健在であって欲しいと思っています。観る人たちの励みになるようなレースを期待しています」