the INTERVIEW

注目レーサー the INTERVIEW 地元・福岡を背負い、強い気持ちで走る! 篠崎元志 篠崎元志

2016年は史上初の兄弟でグランプリ出場を果たした篠崎元志。ボート業界全体を考え、地元の福岡3場では負けられないという責任感と、トップレーサーであり続けるための強い気持ちを持ち続ける。今年はケガの影響で出遅れたが、メモリアルの舞台は「一番縁がある水面」と話す若松だ。年末のグランプリ出場へ正念場のいま、地元SG初制覇を目指して、大好きな若松ナイター水面を駆け抜ける!

(インタビュー&構成/『マンスリーBOAT RACE』武内達也)


4350 しのざき もとし
1986年(昭和61年)2月28日生まれ。福岡支部・96期。
2005年5月、若松でデビュー。07年4月、若松・タイトル戦で初優勝、11年10月、びわこ・周年記念でGI初優勝。12年12月、住之江・グランプリシリーズでSG初優勝を飾る。16年には弟・仁志と兄弟でグランプリに出場して話題になった。

◆通算成績

出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
全種別 2,737回 124回 38回 51.3% 67.9%
SG 360回 14回 2回 38.9% 59.7%
GI 785回 27回 7回 45.2% 62.3%
◆全国成績(最近3節)
17年 6月 鳴 門 SG・グラチャン 46333454
17年 6月 住之江 GI・周年 35212313
17年 6月 若 松 GI・周年 2454236251
◆若松成績(最近2節)
17年 6月 GI・周年 2454236251
17年 5月 タイトル(GW戦) 25123325

(2017年7月27日現在)


― 昨年は兄弟でのグランプリ出場でした。

篠崎 兄弟でずっと目標にしていたことだったので、兄弟で出場できたことは素直に嬉しかったですが、僕は直前の福岡周年でのケガが悪化して帰ることになって悔しかったですね。

 弟にですか? 「俺は帰ることになったけど、残りも頑張って」くらいですかね。特別なことは何も言っていないですよ。

― その後は2ヵ月休まれていましたね。

篠崎 2月若松で復帰しましたが、その1、2節前くらいには復帰するつもりだったんです。思っていたよりも回復が遅れてしまいました。

 復帰してからは、A1級キープが絶対条件でした。そのためにはA1級の出走回数90走をクリアしないといけません。年末に向けてめちゃくちゃ出遅れていることもわかっていたし、A1級に残らないと後半戦で勝負できる位置にもいけなくなってしまう。今回のメモリアルにしても、A1級でなければ選出基準外です。体は万全ではなかったし、焦りもありました。焦りと上手く付き合っていくのに苦労しました。期が替わっても厳しい状況は変わっていません。

 グランプリに出場するには、大きいレースを獲るか、コンスタントに活躍するか、どちらかだと思います。まだ数回しかグランプリには行っていないけれど、SGを獲って出場したときもあれば、年間を通じて安定した成績を残して出場できたときもあります。今年は前半戦でだいぶ出遅れているので、後半戦はそれを補うだけの結果が求められます。



― 5月の福岡・オールスター準優では弟の仁志選手と一緒でした。

篠崎 プライベートでは兄弟ですが、仕事では先輩と後輩ですし、場面によっていろいろな見方があると思います。

 でも、レースの大きい、小さいに関係なく、弟と走るのは良い気分ではないですね。できれば一緒のレースでは走りたくない。勝ち負けとかじゃないし、レースがやりづらいとかでもない。なんて言って良いのかわからないけれど...、兄弟って何ものにも代えられない存在じゃないですか。



― 4年前の13年・丸亀メモリアルは優勝戦でフライングでしたが...。

篠崎 メモリアルでは良い経験も悪い経験もしています。あのフライングは、今でもしなくて良かったフライングだなと思うし、取り消せるなら取り消したいくらいです。一つもプラスになることはなかったですから。

 翌年のSGの権利を持っていなかったら関係ないけど、既に持っていた権利もすべてダメにしてしまったし、1年間もSGを走れないし…。その後のモチベーションを保つのはしんどかったです。

 丸亀のフライングは辛かったけれど、15年の蒲郡大会で優勝できたので良い思い出もできました。



― “篠崎元志”の強みとは何でしょう?

篠崎 気持ち、だと思います。僕は凄くスタートが早いわけでもないし、飛び抜けたターンをするわけでもない。プロペラの技術だって優れているとは思っていません。

 どれを取っても突出したところはないけれど、“篠崎元志”という選手をトータルで見れば、SG戦線で戦っていくための力とモチベーションは十分あるつもりです。だから、僕の強みはそれをまとめる気持ちの部分、高いモチベーションだと思います。



― 今回のメモリアルは若松・ナイター開催です。

篠崎 福岡3場のなかで、自分に一番、縁があるのは若松だと思います。デビューしたのは若松だし、初1着、初優勝も若松と初物づくし。GIタイトルも若松だけで、まだ福岡と芦屋では獲れていません。何が良いってわけでもなくて、たまたま良い結果が出ています。

 ナイターも好きですよ。雰囲気が良いですし、基本的にナイターが好きなんです。若松はピットも綺麗なので、気持ち良く仕事ができる環境だと思います。

 SGを走る回数が増えるにつれて、「地元を背負う」という責任を感じるようになりました。福岡のレース場で走るときは、地元の代表として結果を出したいと思っています。



― 開催施行者(若松)希望での出場です。

篠崎 SGにも自分が頑張って出られるSGと、選んでもらって出られるSGがあるじゃないですか。今回のメモリアルは若松に選んでもらって出られるSGなので、結果を出す責任があると思います。

 6月の若松周年では地元勢が優勝戦に乗れなくて凄く悔しかった。自分が乗れなかったことと、プラス、地元全滅は結構きつかったです。やっぱり地元選手が優勝戦に乗らないと盛り上がらないじゃないですか!

 今回の若松メモリアルも、地元の僕が優勝したい。フライング休みが明けてからメモリアルまでに2節あるので、そこでしっかりと良い流れを作って、若松に臨みたいです。目標は優勝、最低でも優出がノルマだと思っています。


 近年、7月の丸亀オーシャンCでSG初優勝を飾った峰竜太や、SG覇者の新田雄史、茅原悠紀、桐生順平ら“ニュージェネ世代”の活躍が目立つ。今年のSG優勝者を見ると全員が4000番台、それもやまと世代である。もちろん、篠崎もその1人だ。「『ニュージェネ対決番組』が組まれたり、グッズを作ってチャリティーとかしたり、業界を盛り上げる要素の一つになっているので嬉しいですね」。勢力図が大きく変わりつつあるボート界、2017年は世代交代のメモリアルイヤーとなるか。

2013年オールスター優勝・新田雄史

2014年グランプリ優勝・茅原悠紀

2015年メモリアル優勝・篠崎元志

2017年クラシック優勝・桐生順平

2017年オーシャンC優勝・峰 竜太