the INTERVIEW

僕たちは
ニシヤマ
大好きだ!

水の上でも、陸の上でも、いつも全力勝負!

注目レーサー
the INTERVIEW
4371西山 貴浩(福岡)

「陸上のエンターテイナー」として業界を盛り上げ、昨年はグランプリ初出場で初優出と、水面でも存在感を発揮した西山。結果が出る前は非難を浴びたこともあったが、お客さんを第一に、家族の存在や先輩レーサーにも支えられ、現在の「エンターテイナー・西山」が完成した。今回の対談も笑いに包まれた中で行われたが、時折見せる真剣な眼差しに「勝負師」の顔も見られた。「若松=西山」を全国にアピールするためにも、今大会は優勝のみを目指して突っ走る!

(インタビュー&構成/武内達也)

興奮し、衝撃を受けた地元・藤丸光一のレース

― まずは選手になろうと思ったキッカケは?

西山ボートレースは全く知らなかったんですが、もともと父が大好きだったんですよ。それで昔から「お前のお産費用は納富英昭さんが出してくれたんだぞ」って言われていました。たぶん納富さんの舟券で儲けたんでしょうね(笑)。あとは、小学生の頃に親戚のお兄さんにポケバイを組んでもらって乗っていて、エンジンをイジるのが好きになりました。父とお兄さんに「選手になれば」って言われたのがキッカケですかね。

実際にレースを見に行ったのは、植木通彦さんが優勝した02年の若松オーシャンCです。最終日9Rで6号艇の藤丸光一さんが前付けに動いて、3コースから捲ったレースが強烈に衝撃的で、興奮したのを覚えています。

97期でやまと学校(現ボートレーサー養成所)に入学して、納富さんが担当教官だったのでビックリしました。

コンマ02の快ショット!念願のGI初優勝を飾る

徳山・GIダイヤモンドカップ
(2020年9月28日・第12レース)
着順 枠番 選手名 支部 進入 ST
1 1 西山 貴浩 (福岡) 1 02
2 3 池田 浩二 (愛知) 3 04
3 2 白井 英治 (山口) 2 07
4 4 藤岡 俊介 (兵庫) 4 06
5 5 濱野谷憲吾 (東京) 5 07
6 6 毒島  誠 (群馬) 6 09

2連単 1-3 440円(2番人気)
3連単 1-3-2 930円(2番人気)
決まり手=逃げ

― 昨年はGI初優勝、そしてグランプリ初出場で初優出。大ブレイクしました。

西山ここまで来るのに時間が掛かりました。今村豊さんや服部幸男さんの記録を抜いてやろうと思ってデビューしたのに(笑)。

8月びわこ周年優勝戦の1号艇で飛んだ時は、もう一生獲れないと思いましたね。何で(インの弱い)びわこで1号艇なん?って(笑)。すぐに徳山ダイヤモンドCで初優勝をすることができたので、まあ良い経験だったのかなと。

徳山で優出した時はめちゃくちゃ緊張しました。びわこと違って、徳山はインが強い水面ですから。ここで負けたら、次はないなと思っていました。それに、地元の白井英治さんの気迫が凄かった。今村豊さんの引退を聞いて、白井さんの顔色がガラリと変わっていました。エンジンの出方も凄かった。そこで優勝できて、本当に良かったです。

今年は賞金ベスト6でグランプリに出場する

― 初めてのグランプリはいかがでしたか?

西山何もかも初めてのことだったけど、池田浩二さんの存在が大きかった。浩二さんから「トライアル1走目はゴールすることが大事。2走目からは枠番抽選が大事」って言われました。

そうしたら、本当にトライアル2ndで2回連続1号艇を引いて。実力はもちろん、本当に運が必要なんだと思いました。

― グランプリを経験して何か変化は?

西山うーん、オーラが出てきたのかな(笑)。エンジンに関しては以前よりも触る回数が増えました。グランプリではトライアル2nd組と1st組のエンジン差が凄かった。自分の中でもっとエンジンを出さないといけないという意識が強くなりましたね。「このエンジンは峰竜太さんが乗ったらもっと出るんだろうな」とか考えたりします。

レースに関しても、考えることが増えました。なるべくコースは動こうとか、ここは絶対に2着以上が欲しいなとか。松井繁さんは大崩れせずに準優まで行くじゃないですか。そういうレース運びもあるな、とか。

― 今年ここまでの流れは?

西山江戸川でGIを獲れたけど、そこまで良い流れかと言われると、そうでもない気がします。ただ、今年は絶対にグランプリに行かないといけない、と思っています。グランプリは2年連続で出場しないと意味がないと思う。

それと、今年は賞金ベスト6で行きたい。昨年のグランプリは17番目での出場だったので、序盤からバタバタしていましたけど、その時に篠崎仁志は漫画とか読んでいるんですよ(笑)。2nd組は良いエンジンばかりなので、ゆっくりできるし、グランプリを勝つにはトライアル2nd発進が圧倒的に有利ですからね。

モニター越しではなくお客さんの前で喋りたい

― エンターテイナーとしても大会を盛り上げる存在です。

西山陸上で盛り上げ役に徹していた分、水面で結果を出さないといけないプレッシャーがありました。当時はめちゃくちゃ叩かれたりしましたからね。

そんな時、原田富士男さんが「中途半端じゃダメ。そのスタイルを力いっぱいやり切ったほうが良い」って言ってくださって。その言葉はかなりデカかったですね。上瀧和則会長にも「好きなようにやれ。業界を広めてくれ」って言っていただきました。

確か、浜名湖オールスター(12年)の帰りだったかな。自分と瓜生正義さん、篠崎元志さんと一緒の時に、ファンのおじさんがいて。瓜生さんには「九州を引っ張って行けよ」、元志さんには「カッコいいな。スタートも早いし。」自分は「何か面白いことやれ」って。1人だけ違うやん(笑)。

それでも、ファンの方にそう思っていただけるのなら、このまま突っ走ろうと思いました。

― 無観客開催や入場制限など、エンターテイナーには厳しい状況だったと思います。

西山お客さんと触れ合えないのは、自分にとって地獄でした。お客さんがいない中で走るのは寂しいですよ。モニター越しに喋るのは味気ないですから。

昨年の平和島グランプリも、入場制限をしていたのでお客さんが少なかった。自分の中では住之江グランプリのお客さんの人数を想像していたので、物足りなかったですね。2日目に3コースから捲って勝った時なんか、お客さんの前で勝利者インタビューをしたかった。盛り上がっていたのは間違いない(笑)。

見られるのは一度だけGPカッパ姿を見逃すな!

― 若松開催のSG出場は3回目です。

西山若松オールスターが決まった時から、ここが勝負所だと思ってやってきました。オールスターがダメなら、今年はダメという気持ちです。

光栄にも、2万9068票という票数をいただきました。地元なので「ドリームに入れたらいいな」と思っていたけど、まさか得票数2位で出場できるとは。これまでやってきたことが実になったというか、本当にありがたいです。

― やはり、純地元の若松は違いますか。

西山若松では一般戦でも何でも勝ちたい。勝ちまくって、田頭実さんから『ミスター若松』の称号を譲り受けないと(笑)。オールドファンの方々の田頭さん人気は凄いですからね。

自分も、ファンの方に名前をつけてもらえる選手になりたいです。『若松の失敗作』とか、何でも良いので(笑)。

―「若松のエース」として意気込みを!

西山若松でオールスターが開催されるのは初めてです。好きなSGを獲れるなら、自分はオールスターがいい。どんなに頑張っても、お客さんに選んでもらえないと出られないSGですから。その分、お客さんの期待値も高いと思うけど、自分自身も今までで一番期待しているし、やれるんだろうなと思っています。

初日のドリームは、初めてグランプリのカッパを着て走ります。グランプリのカッパを着るのは、今回のドリーム1走だけです。SGのドリームに乗れたら着るつもりでした。それが若松のドリームなら最高です!

04年の若松オーシャンCで、大勢のお客さんの前で勝った田村隆信さんをみて、あんな経験をしてみたいと思いました。若松SGの地元優勝は、植木さん(02年・オーシャンC)以来ないみたいなので、今回は優勝だけを目指して、優勝できたら引退します(笑)。僕のレーサー人生でこれ以上の出来事はないです!

にしやま たかひろ

1987年5月15日生まれ。福岡支部・97期。
2005年11月、若松でデビュー。20年9月、徳山・ダイヤモンドCでGI初優勝を飾る。SGは15年12月、住之江・GPシリーズで初優出。

YouTube若松公式チャンネルで、今までの活躍を集めたCMが視聴できる。

◆通算成績

出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
全種別 4,064回 154回 40回 47.5% 67.8%
S G 267回 3回 0回 32.5% 50.1%
G I 833回 12回 2回 34.0% 55.4%
◆全国成績(最近2節)
21年 4月 GI・周年 216333464
21年 4月 宮 島 GI・DC 3156231551
◆若松成績(最近2節)
21年 3月 GI・周年 533113312
20年 12月 タイトル(正月戦) 521111326

(2021年4月27日現在)