the INTERVIEW

もう僕がマスターズ世代! ?ちょっと早い気が…

― 3月15日に誕生日を迎えられて、マスターズ世代の仲間入りです。

田村 うーん、ちょっと早い(苦笑)。もうそんな年齢かって感じです。僕の中ではマスターズ新設当初の50歳以上というイメージが強くて、早くても48歳かなって。

メンバーを見ても、僕がデビューした時(1999年11月)に記念を走っていた方が多いです。その方達が記念戦線で20年以上戦い続けて、今でもしっかり結果を出されている。これは凄いことですよね。

― 今回は井口佳典さん、山本隆幸さんもいて銀河系の活躍を期待するファンも多い。

田村 新鋭リーグ時代に一緒に走っていた選手もたくさん出場します。メディアに取り上げられる機会が減ってきているので、今さら「銀河系軍団」って言われるのは少し恥ずかしい気もしますけど(笑)。「ニュージェネレーション」だってちょっと昔のことじゃないですか?それよりも古いですからね。

― マスターズCの印象は?

田村 イメージだけで言えば、進入とかを含めて“グチャグチャっとした感じ”ですかね(笑)。それが嫌いかって言われればそうではないし、むしろレースを組み立てるのは好き。最近は4号艇なら4コースって感じの簡単なシミュレーションが増えてきているけど、今回はしっかりと考えることになると思うので、楽しみです。

年1回はSGやGIを勝ってグランプリに出場したい

― デビューして24年目に入りました。

田村 ここまで決して順調ではなかったかな。選手として、まだ途中だと思っています。デビューしてからGI(2003年丸亀・新鋭王座)、SG(04年若松・オーシャンC)を獲れることができた5年間は一気にグンって成長できたし、グラフで考えても右肩上がりだったと思います。

そのままずっと上がっていければ良かったけど、そこからは僕の中では平行線というか…。デビュー当時の勢いを考えれば、もっとやれていたのかなと思う。当時の自分が思い描いていた今と、現在の自分とはズレがありますね。

― それでもSGV3、GIV15、そして今年はGII初Vも決めました。

田村 徳山のGIIは「誰が勝ってもGII初優勝」シリーズだったので、オマケみたいなものですね(笑)。あまり意識してこなかったけど、勝った後に「史上5人目の全グレード制覇!」ってメディアに取り上げられた時は、やっぱり嬉しかったです。

もちろん、今後も記念のタイトルは獲りたい。これまでは年間3回獲る時(19年にGIV3)もあれば、獲れなかった年もあるので、年1回はSGやGIを勝てる選手になりたい。その先にグランプリ出場が見えてくると思うし、毎年そこを目指していますから。

― 最近のリズムは?

田村 決して悪くはないけど、良いとも言い切れないです。良いエンジンの時もあれば、悪いエンジンを引いてダメな時もある。ただ、昨年末あたりから調整方法を変えて良い方向にはきているのかなって思っています。

基本的に伸び足に寄せることはなくて、しっかりと3周走れる仕上がりを求めています。それだとパンチはないけど、そこで変えてしまうと自分のスタイルを崩してしまう。7:3で自分の好きな調整を選択したほうが、結果的に合いますね。しっかりレースができないとストレスにもなるし、せっかく組み立てたことができなくなってしまいますからね。

悪い時を忘れてしまうほど若松では成功体験がある

― 田村さんと言えば“若松”のイメージです。

田村 自分でもそう思います。SG初優勝が若松ですし、SGの優出が一番多いのも若松(5回)。獲得賞金も一番多く稼げているんじゃないかな? 先ほど「レースを組み立てるのが好き」って言いましたが、SG初優勝の時もシミュレーションをして勝つならあの展開(4号艇だったが5コースに引いての捲り勝ち)しかないと思っていました。上手くハマりましたね。

レース場のレイアウトとかコース幅、調整方法とかも、地元の鳴門に似ている感じがします。それに他のレース場と比べて、成績の良い時が多い。もちろん悪い時もあるけど、それを忘れられるくらいの成功体験が若松ではある。調整面で悩んでいても悪い方向に行かないというか、失敗してもブレが少ない。基本的にポジティブな人間なので、良いイメージが残っているのは大きいですね。

― 今回優勝すれば、史上初のPGI全制覇。しかも全て初出場で優勝です。

田村 そうなんですか? 確かに新鋭王座(現ヤングダービー)も、BBCトーナメントも、初出場で優勝でした。ということは…今回も獲れそう(笑)。そういったことには縁があるんですよ。

新鋭王座みたいに、優勝したら卒業っていうシステムは? ないですよね(笑)。マスターズC出場を目標にはしないかもしれないけど、今後はダービー勝率みたいに出場ボーダーが高くなる可能性は十分にあります。そんな状況になっても、目標にせずともずっと出場できる選手でいたいです。

駒でなく、レーサーとしてファンと交流したい

― 最後にファンの方へメッセージを。

田村 無観客開催を経験して、そこから有観客開催に戻った時は、やっぱり走っていて雰囲気は違いました。

ただ、まだファンの方と交流できる機会が戻ってきていないのは残念。あまり良い表現ではないかもしれないけど、そういった交流がないと、ファンの方にとって僕はただの“駒”でしかないのかと思ってしまう。そろそろ規制も緩くなってくると思うので、ファンの方と交流できる機会が増えて欲しいです。

今さら恩返しっていうことでもないけど、昔から応援してくれる方々のためにもコロナ前の状況に戻って欲しい。コロナ禍で交流がなくても、ずっとファンの方が応援してくれているのは心強いですし、「昔から入り待ちや出待ちをしてくれていた、あの人は元気かな?」って、気になったりもします。マスターズCで、しっかり走っている姿をお見せしたいですね。

Profile

たむら たかのぶ

1978年3月15日生まれ。徳島支部・85期。
1999年11月、鳴門でデビュー。デビュー戦で水神祭を飾り、準優進出を果たす。2001年1月、蒲郡・タイトルで初優勝。03年1月、丸亀・新鋭王座決定戦でGI初優勝。04年7月、若松・オーシャンCでSG初優勝。「4000番台の旗手」と呼ばれ、デビュー時から若手トップレーサーとして活躍。「銀河系軍団」85期の同期には井口佳典、森高一真、丸岡正典、湯川浩司、田口節子らSG級のレーサーが多数。

◆通算成績
  出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
全種別 5,364回 226回 64回 49.4% 64.9%
S G 989回 21回 3回 38.9% 52.8%
G I 1,972回 66回 15回 43.3% 59.9%
◆全国成績(最近2節)
23年 3月 鳴 門 GIII・企業杯 61356211414
23年 2月 芦 屋 GI・周年 1344541444
◆若松成績(最近2節)
23年 2月 一般競走 3321126
22年 10月 3Days 1622

(2023年3月15日現在)