the INTERVIEW

4556(福岡)
竹井 奈美

女王戴冠へ、ボルテージは最高潮!


5年連続5回目のレディースチャンピオン出場となる竹井奈美。今年の舞台は「福岡3場のなかでも一番イメージが良い」と話す地元の芦屋水面。5月の福岡オールスターでSG水神祭を飾り、7月には丸亀オーシャンカップに出場する。一つひとつ目標をクリアして勢いを加速させた今、ボルテージは最高潮。思い入れの強い地元・芦屋水面で、女王になる!(インタビュー&構成/『マンスリーBOAT RACE』武内達也)

4556 たけい なみ
1989年7月31日生まれ。福岡支部・104期。
2009年5月、福岡でデビュー。16年6月、福岡・ヴィーナスSで初優勝、13年8月、鳴門・レディースCでGI初出場。16年12月、平和島・クイーンズCでGI初優出。SGは15年5月の大村・オールスターで初出場、17年の福岡・オールスターでSG水神祭を飾った。111期の竹井貴史は弟、同期には松田大志郎、岡村慶太、中田竜太らがいる。

◆通算成績

出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
全種別 1,812回 32回 2回 36.9% 54.3%
S G 17回 0回 0回 11.8% 29.4%
G I 80回 1回 0回 22.5% 41.3%
◆全国成績(最近3節)
17年 5月 福 岡 SG・オールスター 166346323
17年 5月 平和島 ヴィーナスS 22212222441
17年 4月 大 村 GIII・Aレディース 2431413232
◆芦屋成績(最近2節)
17年 4月 一般競走 1565332516
16年 11月 GII・MB大賞 43531562

(2017年6月28日現在)

「ボートの後ろにモーターが着いているって・・・怖くないですか?」

― いつからボートレーサーになろうと?

竹井父親がボートレース好きで、小さい頃から芦屋や若松に連れて行ってもらう機会が多かったので、自然と思うようになりました。小学生のときは“ボヤ~っ”と思っていただけだったけど、中学に入る頃には「選手になりたい!」と思うようになりました。

選手になるために、中学と高校ではバスケット部で体力作り、部活を引退してからは毎日のジム通いで基礎体力をつけました。そのおかげもあって、やまと学校は一発で受かりました。

― では、やまと学校の訓練も余裕?

竹井やまと学校に入って感じたのは、ボートに乗ることへの恐怖です。今でこそ「モーターは相棒なんだ」って思えるけど、入った当初は何もかもが初めての体験でしたし、スピードに怖さを感じていました。ボートの後ろにモーターが着いているって・・・、怖くないですか?

陸の上での作業もつらかったですね。結構やらかしている思い出が多くて・・・。特にモーター運搬がキツかったです。泣きそうなくらい嫌だったし、ペアだった岡村慶太にほとんど任せていました(苦笑)。

それでも複数旋回をする頃には、ボートが楽しくなってきました。やっぱり乗るのって楽しいですから!



「1号艇で優勝できたので、自分自身の成長を感じることができました」

― 初優勝まで・・・長かったですね。

竹井去年6月に優勝するまでは葛藤の連続でした。それまでも何回か優勝戦に進むことはできていたけど、優勝できない時期が続いて・・・。せっかくの優勝戦1号艇でも負けてしまったりして、「やっぱりダメなんだ」って思うことが悔しかったです。

福岡のヴィーナスシリーズで初優勝したときは、ホッとしました。良いモーターとは聞いていたけど予選道中は握り込みが来ていなくて、2コースで2回ともスタートでドカ遅れしてしまったので、思い切って電気を交換しました。それが良い結果に繋がりましたね。準優勝戦の日までは優勝できると思っていなかったけど、優勝戦前の試運転で仕上がっていたので、「これなら優勝できる!」って思いました。

福岡では優勝者インタビューがあったので、優勝してすぐファンの方に報告できたことも嬉しかったです。大勢の方が残ってくださっていて、大きな拍手で迎えてくれました。

― 半年後の戸田で2回目の優勝です。

竹井戸田の優勝は、福岡の初優勝とは全然違いましたね。戸田では1号艇で優勝できたので、自分自身の成長を感じることができました。そのシリーズで一番だったことの証明だし、「勝った」って気持ちが大きかったですね。この優勝でレディースチャンピオンの出場権を獲得できました。

戸田で優勝してからは、「もっと優勝したい」って気持ちが強くなりました。年末のクイーンズクライマックスでも納得のレースができたし、準優勝は上出来。良い形で1年を締めくくれたと思います。



「モーター、プロペラ制度が変わったときは“よっしゃ!”って思いました」

― 今年もリズムが良いですね。

竹井今年は一つずつ目標をクリアできているので、リズムは悪くないと思います。オールスターでは2回目のSG出場ができたし、どうしてもしたかった水神祭も飾ることができました。丸亀のオーシャンカップは初めて自分の力で出場権を獲得したSGです。出場は知り合いに教えられてビックリしましたけど(笑)。

目標を一つクリアすると、さらに大きな欲が出てきます。今の目標は、大きいことで言えばSGで準優勝戦に乗りたい。目の前の1走1走に集中して、結果的に目標を達成できれば良いですね。

― モーターに関係なく成績を残しています。

竹井モーター制度、プロペラ制度が変わったときは、自分にとって有利なことだったので「よっしゃ!」って思いました。今のモーターは伸びの差って言うよりも、出足関係の鈍さが気になりますね。前のモーターと比べて、瞬発力がなくなっていると思います。私は基本的に「握らなきゃ」って、差し、捲り差しをしないタイプなので、レーススタイルに合っているし、自分にとってはプラスになっています。



「小野生奈さんって、つねに動いているんですよ」

― 竹井選手は今や女子トップレーサーです!

竹井ここまで成長できたのは師匠の桂林寛さんのおかげです。桂林さんは気持ちで走るタイプの方。技術面はもちろんだけど、メンタル面ですごくお世話になっています。

いつも真剣に考えてくれているし、間違ったことを言わない。私はレースで負けて悔しいときって、泣いたりして顔に出ちゃうんですよ。そんなときは「悔しさを顔に出すな」って言われました。自分にないものを持っている方なので、尊敬しています。

― ライバル・小野生奈選手の存在も?

竹井小野生奈さんの存在も大きいですね。小野さんって、つねに動いているんですよ。1期上の先輩ですが、やまと時代は話す機会がありませんでした。

デビューしてから練習で会う機会が増えて、小野さんの頑張りを間近で見るうちに尊敬するようになりましたね。小野さんも私のことを見てくれていて・・・。最近は上の舞台で一緒になることも多くなったので、高め合える存在になっています。

プライベートでも仲良くさせてもらっています。一緒にいると遊び過ぎちゃうので、ダメージが大きいですけど(笑)。

― ご両親に家をプレゼントされたとか。

竹井2年前にプレゼントしました。周りからは「親孝行だね」って言われるけど、自分では当たり前のことをしただけだと思っています。今までお世話になっているし、ちょうど私自身も引っ越ししたかったので(笑)。



「芦屋は、知っている方がいると気づくくらい、ファンとの距離が近いです」

― 舞台となる芦屋の印象は?

竹井福岡3場はどこも“好き度”は一緒です。自宅に一番近いのは若松だけど、最初にスター候補に選んでくれたのが芦屋なんですよ。いつも良い成績で帰れているし、一番イメージは良いですね。乗りやすさがあってスタートもしやすい。風向きもコロコロ変わるので、それも地元有利になっていると思います。

もちろんインコースは強いけど、捲りや捲り差しが利きやすい。芦屋ではどのコースからでも勝つシーンをイメージできるのでレースをしていて楽しいし、『やる気スイッチ』が入ります。

モーターに関しては、4月に走ったときは差を感じましたね。今まではモーターで苦労することがなかったけど、そのとき直線でやられていたので・・・。6月にモーターは切り替わっていますが、パワーには差がありそうです。モーター抽選運は悪いと思わないので、しっかりと良いモーターを引きたいです。

そうそう、芦屋はファンの方との距離が近いです。知っている方がいると、すぐ気づくくらい近いです。レディースチャンピオンは芦屋本場に来ていただいて、もっともっと賑わって欲しいですね。

― レディースチャンピオンはどうでしょう?

竹井一番暑い時期にやっているので、「周りの選手が汗だくになって首にタオルを巻いて頑張っている」イメージが強いですね(笑)。最近は女子戦が多くなってきているので、いつもと大きな差はないと思うけど・・・。

枠番も重要ですが、1走目から良いレースをして、できるだけ良い枠番で次に繋げたいです。



「捲りが持ち味なので“奇数コース”が勝負だと思います」

― 未来の女王からファンへ、メッセージをお願いします。

竹井芦屋はすごく走らせてもらっているし、地元なのでやっぱり優勝したい。全速のスタートを心がけて、1マークは思い切って攻めたい。

オールスターでも実感しましたが、捲りが持ち味なので、奇数コースが勝負だと思います。レディースチャンピオンでも思い切りの良いターンで優勝を目指します!